★研究に関わるいろいろな実践
1 「体験!メディアのABC」の継続視聴
先に述べたように学校放送番組「体験!メディアのABC」を4月より継続視聴を
している。一回15分の番組で、月に2本程度の視聴である。
番組の内容は、次のようになっている。
第1回「映像の合成」 第2回「アップとルーズ」 第3回「組写真」
第4回「インタビュー」 第5回「写真と文章」 第6回「キャッチコピー」
第7回「アニメーション」第8回「ビデオの撮影」 第9回「録音」
第10回「照明」 第11回「ビデオの編集」 第12回「インタビューの編集」
第13回「音響効果」 第14回「ナレーション」 第15回「コマーシャル」
第16回「手紙・電話・Eメール」 第17回 「ボディランゲージ」
第18回「演出」 第19回「構成」 第20回「メディア」
この番組の特徴およびよさについては、「[研究実践の2」で述べた。1学期、2学
期と継続して視聴をした子供たちの変容について記す。
(1) 効果的な技能習得・知識習得ができるようになった
体験活動のための具体的な手立てが毎回の放送で示される。それをもとに学習
活動に取り組むと、確かに効果的である。また、子供たちのメディアのプロの話に
より、子供たちの知識も増える。その後の学習で、番組で使われている用語を子供
たちが使うこともしばしばである。
(2) 番組がその後の学習の下地となっている
時間の都合上、実際に授業で体験できるのは限られた回である。それでも「視聴し
た」という経験は意義がある。視聴した回と似た活動を行う時に、子供たちから番組
で得た知識が出てくることもしばしばである。いわばメディアに関わる学習の下地と
なっている。
特に番組の終わりの部分では「メディアの見方・関わり方」について、簡単な解説
が行われている。これが子供たちの「メディアに関わる見方や考え方」の素地になっ
ているのも確かである。
(3) 番組の気軽な活用をするようになった
一回ごとのテーマがいろいろな学習に応用できるようになっている。録画をしてい
るので、子供たちは国語辞典のように必要な時に視聴している。今までの学校放
送番組にはなかったことである。
2 実践・小単元「作ろう!合成写真を」
番組の一回目は「合成写真」がテーマであった。この内容で実践を行った。
★単元名「作ろう!合成写真を」(全4時間・5年生対象)
■ 1時間目「作りたい!合成写真」
まず、1回目の「体験!メディアのABC」を視聴させた。大まかな内容は次の通りで
あった。
・ 出演者の合成写真の例示
・ 合成写真の3種類の作り方(写真を切り取って貼る、大きなパネルをバックに写真
を撮る、パソコンで作成する)の紹介
・ テレビ番組での合成映像の例(NHKドラマ「北条時宗」)の紹介
・ 番組制作者の合成映像に関わるコメント
視聴中から、子供たちは番組に引き寄せられた。「合成写真、作るの?」「作りたい」と
いう反応が次々と出てきた。視聴後の感想も、「おもしろそう」「意外と簡単だと思いまし
た」と、合成写真に皆興味を持った。
この後、自分が知っている合成写真や合成映像の例を出させ、そのよさや困る点を
考えさせた。最後にどんな合成写真を作りたいか希望を出させた。「クモの巣にひっか
かっている自分」「アイドルと一緒にいる自分」等、楽しい発想をしていた。
■ 2時間目「合成写真作りの計画を立てよう」
自分の合成写真の計画を立てる時間である。大きくは次の3つのことを行った。
@ 作り方について、番組を見て(その部分のみ)確認をする。
A テーマを決め、絵コンテに表す
B 絵コンテをもとに自分の写真をとる
最初に、番組ではさみを使って自分の写真を切り抜き、のりで背景の写真に貼ると
いう方法を確認した。
テーマ決めのポイントは背景の写真である。自分で背景の写真を用意した子供たち
が半分ほど。残りの子は、教師が用意した写真等で背景を考えた。一人2〜3種類の
絵コンテを考えて、その中のベストを自分で選んだ。
次に絵コンテに基づいた写真撮影である。番組では出演者が、いろいろなポーズで
写真を撮っている。子供たちも真似て、モデルのように楽しんで写真を撮り合っていた。
■ 3〜4時間目「完成!合成写真、そのよさは?」
いよいよ合成写真作りである。
最初に前の時間に撮影した写真を配布しました。「ワー」と騒ぐ子供たち。期待感がふく
らむ。
次に再度番組を見て、合成写真作りの工夫を発見させた。「自分のまわりの部分をき
れいに切っていました」「構成を考えて写真を選んでいる」といった工夫を見つけた。
これで合成写真はできる。さらにちょっとした工夫として、次の二点を指示した。
・ 合成写真のタイトルを工夫してつける
・ 合成写真の登場人物になり切った簡単なお話を作る
さっそく子供たちは作り始めた。貼り付けをして、写真が余っているので「自分を二人
入れよう、友達も入れよう」と発想を広げる子.友達と作品を見せ合って、「その方法で
自分もやろう」という子。皆、楽しく合成写真作りに励んだ。
「溶岩に流されちゃった」「アイドルグループのメンバーになってみました」「エジプトは
いいなあ」といった作品が出来た。
さっそく、発表会。作品をビデオカメラでモニターに写し、タイトルとお話を発表した。
一人一人の工夫に、笑いあり、感心する点ありの楽しい発表会になった。
発表後にメディアリテラシーの視点を深めるために、次のような問いかけをした。
・ 合成写真には、作った人の何が表れていると言えますか。
・ 実際のテレビ番組に、どんな目的に合成写真や合成映像が使われればいいと思い
ますか。
「制作者の意図」「メディアにおけるこれからの合成の在り方」について考えさせたもの
である。「本物そっくりの迫力ある場面を撮るのならいい」「でも、人をだますようなこと
はよくない」と答えており、合成写真や合成映像の見方も深めることができた。
3 その他の実践
■「発見!CMの秘密」(社会)
社会科の情報の学習において、CMの効果について分析させた。CMには視聴者を引
き付ける数多くの秘密があることを子供たちは発見した。
■「運動会のことをビデオレターで伝えよう」(国語)
転校した友達にビデオレターで運動会のことを伝えるもの。ビデオで伝えるには、どの
ような表現が効果的か考えた。
■「ポスターの秘密を見つけよう」(図工)
自分たちがポスターを描く前に、実際のポスターのデザインの工夫とその効果について
考えた。
※「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」佐藤正寿のホームページより転載させていただきました。
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