T 研究主題

メディアに関わる見方や考え方を深める指導の在り方
−学校放送番組を活用したメディアリテラシーの育成を通して−


U 研究の目的

 総合的な学習で学校放送番組を効果的に活用し、メディアを通しての表現活動や
学習技能の育成活動等により、メディアに関わる見方や考え方を深める子供を育て
ようとするものである。

V 研究の目標

1 学校放送番組(NHK教育「体験!メディアのABC」)を効果的に活用した単元構
 成の在り方およびその指導法を明らかにする。
2 メディアを活用した学習技能育成の有効な指導法を明らかにする。
3 メディアに関わる見方や考え方を育てるための学習活動および発問の在り方を明
 らかにする。

W 主題設定の理由
 
 情報教育の目標は、大きくは「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社
会に参画する態度」の3つに整理される。(文部省「体系的な情報教育の実施に向けて」)
メディアに関わる具体的な目標としては、次のようなものがあげられる。

・課題や目的に応じてメディアを活用する際に適切に利用すること
・受け手を意識して発信すること
・メディアの特性を理解すること
・情報を処理していく段階での情報の変容を理解すること
・社会生活におけるメディアの役割や影響を理解すること
・情報に対する責任について考えること

 これらは情報化社会といわれる現代において、大切な目標と考える。特にも、メディア
に関わるものの見方や考え方を深めることは、より多様なメディアが出てくると思われる
未来社会を生きる子供たちにとって重要である。
ただ、現状の情報教育においては、「情報活用の実践力」のみが重視される傾向にあり、
「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の比重が少ないと思われる。たとえ
ば、メディア機器活用の技能を高めることは学習上必要であっても、それだけでは見方や
考え方を深めることはできない。(これは、「情報活用の実践力」を否定するものではない。)
 そこで、メディアに関わるものの見方や考え方を育てる指導法を明らかにしたいと考え、
本主題を設定した。そして、そのための手立てとして学校放送番組(NHK教育「体験!メ
ディアのABC」)を活用する。また、メディアに関わるものの見方や考え方を育てる具体的
な方向性として、「効果的な体験活動および指導の在り方」「前提となる学習技能の育成」
「思考を促す学習活動および発問」の3つを考えた。本研究は、これらの3点について学校
放送番組のよさを生かしながら有効な指導法を明らかにするものである。

X 研究の仮説

仮説1 学校放送番組の内容をもとにした体験活動を単元の中に意図的に位置づけ、効果
    的な指導をすることによって、子供たちの課題解決能力が高まるのではないか。
仮説2 学習活動に応じた意図的・効果的な指導を繰り返すことにより、子供たちのメディア
    を活用する学習技能が高まり、メディアについての見方が深まるのではないか。
仮説3 子供たちの思考を促す学習活動および発問を授業に取り入れることにより、子供た
    ちのメディアについての考え方が深まるのではないか。

Y 研究の内容と方法

1 研究の基本的な考え方
 ■「メディアリテラシー」について

 「メディアリテラシー」という言葉は、現在多様な意味づけや解釈がされている。ここでは、
次の3つの能力と押さえたい。

・メディアの受け手として、メディアを主体的に読み解く能力
・メディアの送り手として、メディアを通したさまざまな表現を創造する能力
・メディアの使い手として、メディア(機器を含む)を能動的に活用する能力

 これらの能力を高めるためには、次のような点を重視していきたい。
@ 日常生活において、メディアの受け手である子供たちに、メディアの送り手・使い手の
 立場としての学習活動が必要である。その体験をもとに受け手として視点を深める。
A メディアリテラシーの能力を高めるために、意欲的に追究可能な学習課題および価値あ
 る学習活動となるように支援していく。

 ■「メディアに関わる見方や考え方を深める」とは
 主体的に活動をする学習を通して、メディアの表層的な見方・考え方から一歩踏み込み、
より質的に高まった価値観に深化することを「メディアに関わる見方や考え方を深める」とと
らえる。
 このことは、子供たちにとって新たなメディアの価値観を創り出すことと言ってもよい。その
ために、次のような点を重視していきたい。
@ 学習のねらいに即した適切な活動から新たな価値観を創造できるようにする。そのため
  には、体験活動をより有意義にするための手立てや学習技能の育成が不可欠である。
A 自分たちが創作したり、表現したりしたものについて、自分の考えと他者の考えの学び
 合いを通して、メディアに関わる見方や考え方が質的に高まるようにする。

2 研究の内容
■ 仮説に基づいた研究内容の基本構想の立案
■ 研究内容の実践
■ 実践結果の分析と考察
■ 研究内容のあり方についてのまとめ

3 検証計画
■ 学習面での検証方法
 ・子供たちの発言および学習活動の様子の観察
 ・子供たち作成の資料および作品
■ 意識面での検証方法
 ・子供たちの学習の感想
 ・アンケートによる調査

4 研究の方法と対象
■研究の方法
  授業実践 文献法 観察法 記録法 質問紙法
■研究の対象
  宮古市立高浜小学校5年生(男11名 女4名 計15名)

「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」佐藤正寿のホームページより転載させていただきました。

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