花開くアート風車

協同組合 プロード http://www.chuokai-fukui.or.jp/~prod/index.html

          融合化開発実行委員長 増田 頼保

はじめに

 私が、最初に出会った風車はスペインのドンキホーテとサンチョパンサで名高い風車です。現在ではハイテクの風車にその地位を奪われましたが、やはり情緒的な感じのする木製の風車は今でも観光資源として活き活きしています。  私は画家を志して25年が過ぎ、芸術家として幅広く生活する現在、過去にしまい込んできたことを長い時間かけて意図的に自分のスタイルとして表現しています。春には桜吹雪、荒れ狂う夏の台風、落葉舞い散る秋の紅葉、冬将軍が訪れれば風の世界はもう我が物顔。四季それぞれの風は景色に彩りと風情を醸し出し、私に与えてくれる豊かな楽しみとなります。作品を通していつでも風が見える、そんなことを表現したいと考えるようになってきました。 教育美術と工芸的美術の歴史の長い日本において、自分のジャンルを信じて生活する事はかなり窮屈で、先駆的といえば聞こえもいいけれど、自分のジャンルにマニュアルを作るのは楽しみであり風当りが強いのも事実であります。

  福井県は原発銀座と言われ世界的に有名で、この存在の重圧に対して私ができることとは何なのかをいつも考えてきました。この地域で私は、経営者同士互いの持ち味を生かして助け合う異業種交流組合 プロードとの出会いがありました。私は、プロードのメンバーに彫刻のような風車で風力発電を作る提案をしました。個々にもっている発想から問題解決の糸口を見つけ、互いの技術が高い次元で融合し製品化したのが、モニュメント型の風力発電サイレント・エナジー・システムです。

  具体的な形が無い風にスポットを当て、自然の移ろいを風車という回転体によって、強弱それぞれの風の振る舞いが生み出すかたちが見えてきます。今まであまりにも身近すぎて、意識すらしなかった風との遊び。  色んなところに偏在する風を、私たちは見過ごしていました。こんなものがあるといいなと頭の中で想っていました。不思議なことに形の美しい羽根は流体力学的にも一番効率のいい形になるみたいです。今では、日本風力エネルギー協会においてもこの新しい発想は注目され絶賛されました。新エネルギー財団からはトヨタのプリウスと並んで新エネルギー賞をいただきました。そうして育ててきた構想すべての原点に存在する私の絵画。その中に私が考える自然の営みを感じてもらいたいと思います。

 

1.市民と共同参画

  このところ、地域や市民の活動が注目されている。政治に嫌気が差し直接市民が、社会との関りを模索し始めた。自然エネルギーの風とはいったいどんなものか。それを理解するためのワークショップが最近特に多いようです。私が考える風車もそのところをうまく反映できるよう、機械装置部分と羽根部分とを切り離して作れるようにキット化し、市民参加し易いように工夫してこども達が自ら創る風車を実現できるようになりました。

  これは、教材として開発した風車キットですが、普通ですと全ての材料がキット化された状態で1セットとなるのですが、これでは創作的な重要な部分が失われてしまいます。私が考えたものは、羽根は子供自身が一から作るということに視点を合わせています。そのためには、セット化された装置部分がかなり軽くスムーズに回転する仕組みにしなければなりません。協同組合プロードで開発した磁気浮上ベアリングは、どんな小型の風車にも取付けられる優れた装置ですから、ここでも、それを利用して形の影響を最小限に抑えるようにキットの心臓部に取付けてあります。ある地域では、このキットを使って自然・科学(物理・電気)・美術(デザイン)・社会(問題)・地域の文化などを総合的に考えれるツールに発展すると考えています。


写真1 福井大学工学部機械工学科『手作り風車に夢をのせて』組立て中の風車キット『かたらい』

  写真1は福井大学で行われた公開講座『手作り風車に夢をのせて』です。この他に、福井市自然史博物館、福井県児童科学館『エンゼルランドふくい』や夢創館(神戸)で手作り風車のワークショップを開催してきました。最初は、風車というものが良くわからないものですから、あまり興味がないという雰囲気が充満しているのですが、そのうち面白くなって来るみたいです。

ギャラリー夢創館でのワークショップ



福井放送会館ビッグハンズでのワークショップ
   

  世界で一つしかないオリジナル風車が完成したときには、子供の顔に満面の笑みが溢れています。創意工夫を実際自分の手でやってみる事に、市民と風車を作るメーカーの間に素晴らしい協働の心が芽生えるのです。これは、ほんの一例ですが、同じように風車を取付けたいと考える市民が居て、それをバックアップ出来る企業が存在することで独りよがりなものを作らず感動を共に分かち合える仕事に高めることが出来ます。

2.活動と実績

  協同組合プロードのこれまでの活動と実績をご紹介すると共に、これから行なおうとする事業展開をご披露して、皆さまにも一緒に参加していただこうと思います。

  協同組合プロードは、異業種交流組合として1994年発足しました。大手遊具会社の下請け企業同士が集まり結成したのですが、バブル崩壊と同時に公共事業の減少等で全て縮小もしくは中止になり手詰まり状態になったため、提案型企業を目指して更なる組合員の増強を図り、私の提案で1995年にモニュメント型の風力発電の開発に着手しました。以下にその経過を箇条書きしました。


年譜
                 項    目
  1994 『協同組合プロード』を結成
  1995 モニュメント風力発電の研究を始める
  1997 『協同組合プロード』のモニュメント型風力発電研究開発が、通産省と福井県の認定を受ける
  1998〜 『第1回越前からエコロジーの風を』講師 足利工業大学教授 牛山泉氏、福井大学教授 山本富士夫氏 主催/協同組合プロード 共催/福井県中小企業団体中央会 福井商工会議所(福井)
  1998 第20回国際風力エネルギー利用シンポジウム発表 国立科学技術館(東京)
  1999 『第2回環日本海 風力エネルギー利用シンポジウム』講師 三重大学教授 清水幸丸氏、足利工業大学教授 牛山泉氏、福井大学教授 山本富士夫氏 主催/協同組合プロード 福井県国際交流会館(福井)
  1999 『新エネルギー大賞’98』協同組合プロードは、新エネルギー財団会長賞受賞 主催/財団法人 新エネルギー財団
  1999 NHK東海北陸 PROD紹介番組(井上智広ディレクター NHK福井放送局制作)
  1999 第120回 Night Forum講演会『芸術がそよ風を電気に変える』主催 富山県立デザインセンター(富山)
  1999 NHK総合テレビ「未来派宣言」PROD紹介番組(井上智広ディレクターNHK名古屋放送局制作)
  1999 『エコビジネスの最前線』講師。主催 福井ロータリー北クラブ/福井ワシントンホテル(福井)
  1999 『新エネルギーシンポジウム in 北海道 風の国から地域起し』主催/NEDO北海道支部(札幌) 札幌グランドホテル(札幌)
  2000 『平成11年度 融合化成果表彰事業』で協同組合プロード『優秀賞』受賞(財団法人異業種交流財団)
  2000 『第3回環日本海自然エネルギーシンポジウム』講師 東海大学教授 関和市氏、島根大学助教授 小池 浩一郎氏、福井大学助教授 橋本明弘氏、福井県立大学助教授 杉村和彦氏 主催/協同組合プロード、共催/NEDO関西支部 生活学習館ユーアイふくい(福井)
  2000〜 オープンキャンパス講師。『自然エネルギーが語る21世紀の地域社会と未来-福井・スウェーデン・アフリカ』(主催 福井県立大学)
  2001 『第4回環日本海自然エネルギーシンポジウム』講師 毎日新聞社福井支局記者 横田信行氏、滋賀県野洲町政策企画班員(野洲町「地域新エネルギービジョン」担当)遠藤由隆氏、京都府企画環境部・地球デザインスクールの推進者 桜井俊彦氏、おおさか市民ネットワーク代表(市民共同発電プロジェクトの取り組み)藤永のぶよ氏、協同組合プロード(風力発電機の開発と普及活動)増田頼保 主催 協同組合プロード、共催 NEDO関西支部 生活学習館ユーアイふくい(福井)
  2001 日本機械学会年次大会 フォーラム4パネラー『新世紀を迎えた風車の最先端技術』(福井)、講師 足利工業大学教授 牛山 泉氏、三重大学教授 清水幸丸氏、機械技術研究所 松宮輝氏、日本大学教授 長井浩氏、横浜国立大学教授 今村博氏、協同組合プロード 増田頼保 主催/日本機械学会 福井工業大学(福井)
  2002 環境共生型地域づくりと新エネルギー 主催 鳥取大学
  2002 第24回風力エネルギー利用シンポジウム 主催 日本風力エネルギー協会、(財)日本科学技術振興財団(会場 科学技術館)
  2002 第5回環日本海自然エネルギーシンポジウム 講師 柴田政明氏(株式会社 エイワット代表取締役)、佐藤健吉氏(千葉大学工学部都市環境システム学科助教 授)、大林ミカ氏(環境エネルギー政策研究所副所長)、杉村和彦氏(福井県立大学 学術教養センター助教授)、前川素一氏(福井県総務部地域政策室主任)、コーディ ネータ 小川忍氏(福井テレビ報道制作局長)、主催 協同組合プロード、共催  NEDO関西支部、会場 福井商工会議所ビル地下コンベンションホール
  2003 自治体合同研修会 主催 NEDO 関西支部
  2003 第6回環日本海自然エネルギーシンポジウム 講師 大林ミカ氏(環境エネ ルギー政策研究所副所長)、牛山泉氏(足利工業大学工学部機械工学科教授)、坂川 優氏(福井県議会議員)、パネラー     山本ソ勇氏(福井大学工学部電子工学 科教授)、田中優氏(未来バンク事業組合理事長)、コーディネータ 山本富士夫氏 (福井大学工学部機械工学科教授)、主催 協同組合プロード、共催 NEDO関西支 部、会場 福井大学総合研究棟
  2004 環境・自然エネルギー総合シンポジウム 主催EEネット 会場 グラン キューブ大阪

以下、詳細は http://www.chuokai-fukui.or.jp/~prod/index.html をご覧ください。
協同組合 プロード 〒918-8173 福井県福井市下江尻町21-13-3

尚、教材キットのお問い合わせ等は
増田 頼保 yoriyasu@me.ttn.ne.jp までお願いします。