高専実践事例集V |
工藤圭章編 高等専門学校授業研究会 1998/12/20発行 |
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T 感動させます
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●分かりやすく納得のいく経済学習(14〜21P) 実験経済学の勧め 吉利用邦 豊田工業高等専門学校教授 |
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戸惑う一年生 |
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一年の経済のある午後の授業風景である。 先生 皆さんたちは中学時代、需要曲線、供給曲線を学びましたね。 思い出したかのように、頷く学生もいる。 先生 今日は、需要曲線、供給曲線を実験的に分析したいと思います。 「実験的に」の言葉に戸惑いの顔を見せる学生もいる。 先生 このメロンが一箱に十個入っていて、十箱あります。一箱の値段をそれぞれ買い手と売り手になって、値段を付けてみよう。買い手は、この値段なら買いたい希望価格を二つ青色の紙に記入してください。売り手は、この値段なら仕入れてもよい価格を、二つ赤色の紙に書いてください。
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実 験T |
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取引の成立した価格を黒板に張り出された表に十人の学生が埋めていった(表1)。この時、全学生にも同じ表と方眼用紙がそれぞれ二枚ずつ配られる。(これは表を作成する時間を節約するためである)そこで、
先生 方眼用紙に取引成立の価格をグラフに書いてみて下さい。価格にばらつきがありますね。メロンの季節変動価格を読み取ることができます。季節変動価格を読むとしたら、何故季節によって価格が変わるのでしょうか。 学生 供給が少ないと価格が上がる。(と予想された答えが返ってきた)
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実 験U |
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その結果は、黒板に張り出された表を埋めていった(表2)。学生達は前に描いたグラフの上に、実験Uの取引価格の結果を書いていった(図1)。
学生 天候の影響とか…。 先生 そうですね。天候の他に考えられる例として、他の果物の価格の影響もありますね。あるいは、昨年のメロンの価格の値動き等も影響します。ところで、メロンの均衡価格はどれ位でしょう。 学生 エ−ト、変動価格の平均で、六千円ぐらいかな。 先生 では、残りの方眼用紙にそれぞれ別々に実験T、実験Uでの買い手の希望価格を高い価格の順に、売り手の仕入れ価格を低い価格から書いてみましょう。
先生 ここでのモデルは、消費者も生産者も市場で形成される価格について、正確な情報を持っていることが前提になっいいます。もし、正確な情報を持っていなければ、価格はどのように決まるのでしょうか。 学生 中古車市場では、質の良い車は割安に売られ、質の悪い車は割高になっています。 先生 その通りです。よいところに気づきましたね。ディーラーは質の良い車を中古車市場で売ることを控えたら、中古車市場は質の悪い車だけになってしまいますね。これはグレシャムの法則といいます(図5)。
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ま と め |
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経済学を一年生で実施する上でどこまで理解できるかという心配があった。抽象をいかに具体化し、分かりやすく納得させるかという工夫が必要となる。実験経済学は、これをクリアできたように思われる。学生の初めの戸惑いも「経済学は楽しい」に変わってきている。 |
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